保険とは?相互扶助の仕組みと医療保険・がん保険の考え方をわかりやすく解説

保険の本質は「相互扶助」
保険の一番の土台にある考え方は、**相互扶助(お互いの助け合い)**です。
多くの人が少しずつお金(保険料)を出し合い、そのお金を、実際に事故や病気などのトラブルに遭ってしまった人に届ける。これが保険の基本的な仕組みです。自分のためだけの貯金箱ではなく、「みんなで、困った誰かを助ける」ための仕組みだということを、まず押さえておく必要があります。
保険で備えるべきは「確率は低いが、損失が大きいもの」
相互扶助の仕組みである以上、保険が最も力を発揮するのは、
- 起こる確率は低いけれど、実際に起きたときの経済的なダメージが非常に大きいもの
に備えるケースです。たとえば、火災で家を失う、事故で高額な賠償責任を負う、といったものが典型例です。こうした「めったに起きないが、起きたら家計が破綻しかねない」リスクにこそ、保険は向いています。
逆に、発生確率がそれなりに高いものや、損失額がそこまで大きくないものについては、保険料を払い続けるより、貯蓄や社会保険(公的医療保険・公的年金など)でカバーする方が合理的なケースが多くあります。「何でも保険で備える」のではなく、「保険で備えるべきもの」と「貯蓄・社会保険で備えるもの」を仕分ける発想が大切です。
いわゆる「○○型保険」(貯蓄型・積立型保険)とは
養老保険や終身保険など、名前に「○○型」とつくタイプの保険商品があります。これは簡単に言うと、毎月支払う保険料の中に、万一のときの保障(死亡保障など)のためのコスト部分と、積立・運用のための部分が組み込まれている商品です。保険会社はこの積立部分を運用し、契約内容(有配当・無配当など)によっては配当金というかたちで契約者に還元することもあります。
自分自身で資産運用の知識をつけ、投資信託やNISAなどを使って運用できるようになれば、保障はシンプルな掛け捨て保険で確保し、余ったお金は自分で運用する方が、コストを抑えやすい傾向にあります。
一方で、
- 仕事や家事育児で忙しく、投資の勉強をする時間が取れない
- 相場の値動きにストレスを感じやすく、任せてしまいたい
という方にとっては、「保障」と「積立」がセットになった○○型保険は、選択肢として合理的な場合もあります。どちらが正解というより、「自分でやるか、任せるか」という向き不向きの問題として捉えるのがよいでしょう。
自動車保険・火災保険の考え方

自動車保険や火災保険は、対人・対物賠償など「損失が青天井になり得るもの」は手厚く、車両保険のように「自分の車の修理・買い替え費用」は最低限に絞る、という考え方は一つの合理的な方針です。
特に車両保険は、車の年式や時価額によっては保険料に対して受け取れる保険金が見合わないケースもあるため、「車両保険を外し、その分を貯蓄に回して、いざというときは自己資金で対応する」という判断は、資産に余裕がある方にとっては選択肢の一つです。ただし、ローンが残っている車や、事故時に買い替え費用をすぐに用意しづらい家計の場合は、車両保険を残す方が安心につながることもあるため、家計状況に応じた判断が必要です。
医療保険・入院保険・がん保険の考え方

医療保険を最低限の掛け捨てにする、という方針自体は多くのファイナンシャルプランナーも勧める、合理的な考え方です。
日本には高額療養費制度という公的な仕組みがあり、ひと月あたりの医療費の自己負担額には上限が設けられています。
たとえば69歳・年収約370万円〜約770万円の方が入院で100万円の医療費(窓口負担30万円)がかかった場合でも、自己負担の上限額は8万7,430円で済み、超過分の約21万円が払い戻されます。
平均的な所得の会社員であれば、1ヵ月の医療費の自己負担額の上限はおよそ9万円程度とされています。公的医療保険のおかげで、「入院=家計が破綻するほどの出費」にはなりにくい、というのが医療保険の必要性を最低限に抑えられる理由です。
なお、国立がん研究センターの統計によれば、生涯でがんに罹患する確率は男性で61.1%(約2人に1人)、女性で50.1%(約2人に1人)とされており、がんは決して珍しい病気ではありません。
それでもなお入院保険やがん保険を最低限に抑えられる余地があるとすれば、それは「なりにくいから」ではなく、高額療養費制度によって公的医療保険でカバーできる範囲が広く、自己負担額の上限が抑えられていること、そして十分な貯蓄があれば、通院・入院にかかる自己負担分や一時的な収入減はその貯蓄で吸収できることによります。
つまり、確率の低さではなく、貯蓄と公的制度によって実質的な損失を抑えられるかどうかが判断のポイントになります。
差額ベッド代や先進医療費、収入減少への備えなど、高額療養費制度の対象外の費用については、貯蓄額やライフステージによって必要性が変わってくるため、一律に「不要」と言い切るのではなく、ご自身の貯蓄状況と照らし合わせて判断することをおすすめします。
まとめ

- 保険の本質は相互扶助であり、「確率は低いが損失が大きいもの」に備えるのが基本
- それ以外のリスクは、貯蓄や社会保険(高額療養費制度など)を活用する
- ○○型保険は、保険料の一部が積立・運用に充てられる仕組みであり、自分で資産運用ができる人には必須ではないが、任せたい人には合理的な選択肢にもなり得る
- 自動車保険・火災保険は、賠償など損失が大きい部分を手厚く、車両保険などは家計状況に応じて最低限に
- 医療保険・がん保険を最低限に抑えられるかどうかは、確率の低さではなく、高額療養費制度と貯蓄で実質的な損失をカバーできるかどうかで考える
保険は「入るか入らないか」の二択ではなく、公的制度・貯蓄・保険という3つの手段を、自分の家計状況に合わせて組み合わせていく発想が大切です。
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軟骨先生
2級FP技能士 / 独立系ファイナンシャルプランナー
会計事務所に所属し、法人会計・個人会計・法人労務など幅広い分野を担当。特定の金融機関や保険会社には属さない独立系FPとして、中立な立場からアドバイスを行います。まず大切にしているのは「家計の管理」をしっかり整えること。そこから始めることで、本当に必要なものが見えてきます。
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