毎月の生活費とは別に、「使う時期が決まっているお金」がある

家計管理というと、まず思い浮かぶのは「毎月の生活費をいかに抑えるか」かもしれません。ですが、家計にはもう一つ、見落とされがちな視点があります。それは、数ヵ月〜数年後に、まとまった金額が必要になるとわかっているイベントへの備えです。
- 数年に一度の車の買い替え
- 子どもの学費(入学金・授業料など)
- 家電の買い替え(冷蔵庫、洗濯機、エアコンなど)
- 家族旅行
- 年末年始やお盆など、長期休暇にかかる出費
- 持ち家であれば、外壁や屋根、水回りなどのメンテナンス費用

これらは「いつか必ず発生する」とわかっているにもかかわらず、多くの家庭では、その月の生活費や、たまたま残っていた貯蓄から捻出することになりがちです。その結果、車の買い替え時期やメンテナンスの時期に「思ったよりお金が足りない」と慌てたり、旅行のたびに貯蓄を大きく取り崩したりすることになります。
イベントごとに「毎月いくら積み立てるか」を先に決める

そこでおすすめしたいのが、イベントごとに専用の積立を用意するという考え方です。
やり方はシンプルで、
- 将来発生するイベントを洗い出す(車の買い替え、学費、家電、旅行、メンテナンス費用など)
- それぞれ「いつまでに」「いくら必要か」を大まかに見積もる
- 目標額を、その時期までの月数で割り、毎月の積立額を決める
たとえば、7年後に車を300万円で買い替えたいなら、300万円 ÷ 96ヵ月 = 毎月3万1,250円を、車の買い替え用として積み立てていく、というイメージです。同じように、学費用・家電用・旅行用・メンテナンス用と、それぞれのイベントごとに毎月の積立額を決めておきます。
生活費・目的別積立・貯蓄/投資、この3つに毎月の収入を分ける
この考え方のポイントは、毎月の収入を次のように分けて捉えることです。
- 日々の生活費(食費、住居費、光熱費など)
- 目的別の積立(車、学費、家電、旅行、メンテナンスなど、将来使う時期が決まっているお金)
- 貯蓄・投資(目的を決めず、資産形成や将来の備えとして積み上げていくお金)
生活費と目的別積立を先に確保したうえで、残った分を貯蓄や投資に回す、という順番で考えるのがポイントです。「余ったら積み立てよう」ではなく、「積み立てる分は先に確保し、本当に自由に使えるお金・増やせるお金がいくらなのかを、毎月はっきりさせる」という発想に近いイメージです。
目的別に分けておくメリット
目的別に積立を分けておくと、次のようなメリットがあります。
- 車の買い替えや学費など、大きな出費が来ても、貯蓄全体を大きく取り崩さずに済む
- 「これは旅行用、これは車の買い替え用」と使い道が明確になり、貯蓄を目的外に使ってしまうことを防ぎやすい
- それぞれの目標に対して、今どのくらい貯まっているかが見えるため、進捗を実感しやすく、続けやすい
- 逆に、まとまった出費の予定がない月は、その分を貯蓄・投資に多く回せることがわかる
ここで大切なのは、口座自体を目的ごとに分ける必要はない、むしろ口座は1つにまとめるのが原則だということです。口座を増やしすぎると、管理する通帳やアプリの数が増え、残高の全体像がかえって把握しにくくなります。
そこでおすすめなのは、1つの口座の中で、目的別に金額を仕分けて管理できる仕組みを使うことです。
- 家計簿アプリの「予算」「目標」「タグ」機能などで、同じ口座の残高を用途別に分けて記録する
- 銀行によっては、1つの口座の中に「あなたの通帳(サブ口座)」のような、目的別に残高を分けて管理できる機能を持つところもあるため、そうした機能を活用する
このように、口座の数は1つのまま、管理上・記録上で目的別に金額を分けておくことで、口座管理の手間を増やさずに、目的別積立のメリットだけを得ることができます。
まとめ
- 車の買い替え、学費、家電、旅行、長期休暇の出費、住宅メンテナンス費用など、「いつか必ずかかる」とわかっている出費は、目的ごとに毎月積み立てておく
- 目標額 ÷ 必要な月数で、毎月の積立額を先に決めておく
- 毎月の収入は「生活費」「目的別積立」「貯蓄・投資」の3つに分けて考え、目的別積立を確保したうえで、残った分を貯蓄や投資に回す
- 突発的な出費で家計が崩れることを防ぎつつ、着実に資産形成を進めるための、シンプルで効果的な家計管理の方法です
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担当アドバイザー紹介
軟骨先生
2級FP技能士 / 独立系ファイナンシャルプランナー
会計事務所に所属し、法人会計・個人会計・法人労務など幅広い分野を担当。特定の金融機関や保険会社には属さない独立系FPとして、中立な立場からアドバイスを行います。まず大切にしているのは「家計の管理」をしっかり整えること。そこから始めることで、本当に必要なものが見えてきます。
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